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NO。95 公的年金の積立金取り崩し  (2003.8.18)
 2004年度の年金改正に向け[負担と給付」を巡り財務省と厚労省が正面衝突です。  現在、厚生年金は現役時代の手取り収入に対し給付は59%の水準を維持していますが、その水準を大幅削減し40%台にと主張する財務省に対し保険料を徐々に上げながら近い将来20%で固定しつつ、給付水準は最低50%の維持を厚労省は主張します。その前提として、厚労省は基礎年金に対する国庫負担割合を現状の1/3から1/2へ引き上げることを要求しています。
 急速に進む少子高齢化、人口減少時代の到来、まもなく戦後ベビーブーム生まれの団塊の世代が年金を受け取りり始める、高齢者の増加に反比例し保険料を負担する若い現役世代の減少、また国民年金未加入者が40%を超え、厚生年金の未加入・不法脱退・保険料滞納の増加で年金不信、公的年金制度の崩壊が懸念され始めています。
 
 坂口厚労相は「将来の年金給付を最低50%に維持するためにも、約140兆円に上る積立金を取り崩し給付に充てることも必要」との見解を示したとの報道です。厚生省が所管する国民年金と厚生年金で、毎年必要な年金給付額の5倍、合計約145兆円の積立金があります。共済年金や企業年金の代行部分の積立金を加えると230兆円になるといわれます。
 我が国の年金は現役世代が納める保険料がその時点での高齢者に年金として給付される「賦課方式」を採用していると言いますが、実際は「賦課方式+積立方式」の修正積立方式といえるのです。これまで保険料と年金の差額が積み立てられてきました。その積立金の多くは債券や株式等で運用したり、さまざまな福祉施設に姿を変えましたが、その結果は累積6兆円を超える運用損失と、地方へただのような価格で売却されたコンクリートの塊となってしまったのです。
 年金制度の歴史を紐解くと興味深いものが有ります。
 我が国最初の年金制度は明治8年の「軍人恩給」といわれますが、正式に我が国最初の公的年金といえるのは昭和15年の「船員保険」なのです。背景には昭和12年の日中戦争、昭和16年の大東亜戦争があり、戦時の船員に対する政策でした。
 昭和17年に炭鉱労働者に配慮する「労働者年金」、昭和19年には働く人々に幅を広げての「厚生年金」がスタートいたしました。時同じくして昭和16年に太平洋戦争が勃発、大戦は昭和20年の終戦を迎えるまで続きました。
 厚生年金を通して集めた保険料は戦費に廻ったともいわれます。そして終戦、経済混乱、インフレで積立金は実質ゼロとなりました。
 昭和36年の国民年金のスタートにより国民の全てが何らかの年金に加入する制度になりました。時同じくして我が国は高度成長時代に突入、年金加入者も増加、年金給付は将来ということで積立金は増加し続けてきたのです。

 積立金の取り崩しは禁じ手・奥の手といわれますが、それに触れなければいけないほど年金財政は悪化しているのです。崖っぷちの年金財政を解決するには、両省の共通する本音は消費税のアップのようですが、小泉首相の「在任中は消費税は上げない」の言葉で壁にぶち当たっています。
 国民の老後のための公的年金制度が信頼される制度になるよう、問題を先送りにすることがないよう、さまざまな角度からの議論が望まれます。政治家もお役人も真剣に考えてくださいね。


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