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NO。89 日銀の国債管理政策 (2003.7.14)
 
 長期金利が乱高下を始めました。2002年の年初1.5%であった長期金利はその後一本調子で下げ続け、去る6月1日には0.43%を記録、その後アメリカでの金利上昇の流れを受けて反転、7月4日には一瞬1.4%まで急上昇しました。
 金利と債券価格の動きは、一方が上昇すれば一方が下降するというシーソーの関係です。
金利低下に伴い、バブルと評されるくらいに暴騰してきた国債価格は反転下落し、「すは、国債バブル崩壊か」と市場に緊張が走りました。
 
 国債の2003年3月時点での発行残高は約515兆円と推計され、郵貯・簡保を含む政府は約225兆円、日銀は約80兆円、民間金融機関は約178兆円(内、銀行は72兆円で大手5グループが約50兆円)を保有、まさに国を挙げて国債を購入しているのです。
 長期金利上昇・国債価格の下落は各方面にさまざまな影響をもたらします。140兆円を超える国債大量発行が続く国にとっては低利での資金調達が困難になり、さらなる財政悪化に陥る可能性があります。金融機関等にとっては大量に保有している国債の含み損が経営に悪影響を及ぼしそうです。大手金融機関は株価上昇による保有株式の含み益拡大と相殺の形になりますが、国債保有に偏っている地方金融機関にとっては影響は大きいものがあります。また国民生活公庫と中小企業金融公庫は7/12から貸し出し金利を1.25%から1.6%に、住宅金融公庫は9/1の新規貸し出しから基準金利を2.0%から2.4%にアップを決定、早くも国民のくらしと経済に影響が出始めているのです。

 こうした債券市場の乱高下を受けて
日銀は国債価格暴落によるデフレ化の金利急上昇で懸念される経済への悪影響を回避すべく国債管理政策に本格的に乗り出しました。
 国債管理政策の基本的考え方は、いかに確実円滑に国債を発行できるか、いかに金融機関に国債を引き受けてもらうか、いかに長期的に調達コストを抑えられるの3点に絞り込まれます。
 
すでに発表されている平成15年度の国債発行のポイントは、@20年や30年の長期債を増額、A物価連動債や利付国債の元利を分離してゼロクーポン債として発行ができるストリップ債の導入、B個人向け国債を発行し保有者層を多様化、C2020年度に満期集中する10年もの国債を買入消却して適正な債務管理を実施、D国債をペーパレス化し取引の迅速化や効率化を図る、Eより競争的かつ効率的な国債市場をめざして国債引受の安全装置のシンジケート団の廃止、などが挙げらているのですが、
 
財務省は更に新たな体制づくりを模索始めました。
 
@人気失速気味の個人向け国債の年利水準の見直しや金利非課税の優遇制度の導入、A金融機関の販売手数料のアップを図る、B20年債などの長期債を増発し国債の発行頻度を減らす、Cシンジケート団に変わる政府公認業者の採用を行い国債の安定消化を図るなどです。

 国債相場を安定させ国債の安定的消化と、緩やかな金利上昇に向けて日銀は本格的に取り組みだしたといえます。「これだけ国債を大量に発行している国で明確な国債管理政策がないのは日本だけ、まさに異常である」と竹中大臣は言います。景気回復が期待されるなか、いよいよデフレ脱却に向けてのスタート点なのかもしれません。


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