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NO。82 厚生年金基金代行返上と株価  (2003.5.26)
 
 5月の第4金曜日23日、例年通り上場企業の3月期決算発表が集中いたしました。日経新聞によると、23日までに決算発表をした上場企業(金融を除く)は全体の約85%であり、その連結最終損益は多額の株式評価損を吸収しながらも前々期の670億円から一転して約6兆円の黒字になり、さらに期はリストラ効果と合理化により約9兆円、経常利益では約15%増の過去最高になるとの見通しを発表しました。
 
 23日の株式市場は公的年金の買いなどにより、5日連続で東証一部の売買高は10億株を超え日経平均株価が1週間ぶりに8100円台を回復しましたが、未だバブル後の安値水準にあり市場は低迷を続けているのです。企業業績の明るさが見え始めているにも拘らず株価市場を低迷させている真犯人は「厚生年金基金の代行返上のための株式売却」と名指しされ、その対応策の検討が始まりだしました。
 
 厚生年金基金は企業年金の1つであり、公的年金である厚生年金の一部の掛け金を国に代わり預かり、運用し年金を給付する業務を代行してきましたが、運用難から損失が膨らみその穴埋め負担に耐えられず、代行部分を国に返上して身軽になろうとしているのです。基金数は2001年末で1737基金、この5月の段階で代行返上を決めた基金は全体の約1/3で533基金に上るのです。
 代行部分の返上は2002年4月から可能となりましたが、まず厚生年金基金が掛け金の一部を徴収していたのを元に戻して国に納める、いわゆる代行業務の返上(将来分の返上)を認め、いよいよこの10月から厚生年金基金が将来の年金給付のために積み立ててきた過去の積立分の国への返上(過去分の返上)が始まります。
 代行返上を決めた企業年金基金は返上のための資金確保のために保有する株式の売却を始めており、株価の先行き不安から売り急がれマイナスの連鎖が続いているのです。
 10月といわずに早く返上してしまいたいと、これまで基金は「返上前倒し」を要望していましたが、国は受け入れ準備が整っていないとの理由で認めていませんでした。ここへ来て漸く1ヶ月前倒して9月返上の検討が始まりましたがこれでは効果は全くありません。そこで、現金ではなく株式のまま返上を可能にする「物納」についての検討もされ始めました。国は物納については東証上場の約1000銘柄をそろえた場合にのみ認め、保有する個別株式そのままでは認めない方針であり、これでは実質物納拒否と物納緩和が求められているのです。

 物納条件緩和は換金売りを抑えて株価の下支え効果があると考えられますが保有する株式そのものでの返上が認められないのでは中小規模の基金にとっては対応不可能であり、換金売りがまだまだ続くとも予測されています。
 反面、国へ返上された資金は年金資金運用基金に組み入れられ一定比率が国内株式に振り向けられ運用されるので、買い圧力につながり株価下支えの効果があると期待されてもいるのです。
 
 「株は今が買い時」と小泉首相はブッシュ米大統領との首脳会談の成功に気をよくして楽観的な見方を示したと、25日の読売新聞は報じました。
 去る2月の「ETFは必ず儲かる」との竹中大臣の発言に続いてのこの発言です。
 しばらくは、株価対策の動きに目を離せません。




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