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NO。57 3度目の正直? 生保予定利率引下げ  (2002.12. 2)
 生命保険会社の上半期中間決算が発表されました。大手生保7社の保有株式の含み益は本年3月末に比べて約9割減となり、株安により生命保険会社の体力はもはや立ち枯れの状況が浮き彫りになりました。*含み益がゼロになる日経平均株価(円)
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 時同じくして金融庁は生保の逆ザヤ解消のため「予定利率引下げ」へ向けて法改正の方針を明らかにしました。来年1月の通常国会で保険業法改正案を審議、4月以降に実施したいと動きだしました。
 「予定利率」とは生命保険会社が契約者に約束した運用利回り(=予定利率)であり、その運用利回りを確保することにより約束の保険金と保険料が守られるのです。しかし、株価低迷などの環境下では実際の運用結果が予定利率に達せず、約束した以上はその差を企業が埋めなければならず、結果その穴埋め損失は毎年主要10社で1兆円を超えているのです。

 金融関係当局が予定利率引下げを持ち出すのは、実はこれで3度目です。最初は2年前、相沢金融再生委員長が口火を切ったが頓挫、2度目は昨年夏、引下げに向けて業界との調整にまで入ったが、金融庁の指導をよそに業界一斉に引き下げを望む下位生保とこれを突っぱねる上位生保との確執の末まとまらず制度導入が見送られました。 3度目の正直となるのでしょうか? それとも、そうは問屋が卸すのでしょうか?
  
 
「金融庁の新制度は、中期的に保険金支払の不安がある生保に対して、収益見直しなどを審査し業務内容の改善経営計画を強制的に提出させ、その後手続きを経て金融庁が予定利率引下げの認可を行わせる。」「そして、利率を下げる場合に契約者が動揺して解約に走り思わぬ生保危機を招かぬように、解約を一定期間制限する」という筋書きのようです。

 
しかし、賛成をしたのは経営危機とはまず無縁の日本生命だけ、他の生保は下げるなら一斉に下げて欲しいが本音。「俺が死んだら3000万の死亡保険金がある」と信じていたら、「じつは申し訳ない会社の危機で2000万円にして欲しい、でなければ保険料を大幅に上げて欲しい」と慇懃無礼にのたまうこの制度に契約者は「財産権侵害」の訴訟も辞さないと大反対で四面楚歌の感がいたします。

 生命保険会社が破綻をすると株式を持ち合っている金融機関にも大打撃、また国債の大量消化先が消える等、金融危機が懸念され、監督官庁はなりふり構わずの感がします。去る9月に金融庁は生保契約者の契約を保護するための公的資金枠4000億円を延長しています。

 しかし、これまでの生保の破綻で生保業界が準備し積み立てた財源は既に枯渇寸前、これ以上破綻が生ずると4000億円の公的資金だけでは足りなくなるのです。
 国民は1400兆円の金融資産を保有しているお金持ち、国民に少し痛みを押し付けよう、泣いてもらおうという国の狙いが見え隠れします。
 国民の汗と涙の1400兆円を巡る攻防が高まりつつあります。つつましく蓄えてきた資産が狙われ消える時代がきたのです。


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