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NO。40 新5千円紙幣と樋口一葉  (2002.8. 5)
 
 1984年以来20年振りに紙幣が一新され、来年春をメドに新紙幣の発行が決まりました。
 これまでの「福沢諭吉」「新渡戸稲造」「夏目漱石」の“偉人トリオ”に変わり今回は「福沢諭吉」「樋口一葉」「野口英世」の“?”登場です。日銀によると女性がモデルとして一般の「日本銀行券」の肖像画に登場するのは樋口一葉が初めてであり、男女共同参画社会の推進を大きく意識したのことであります。

 奇しくも本年は「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」そして未完の「裏紫」などの名作を残した明治文壇の才媛作家樋口一葉の生誕130年目に当たります。 一葉は母と妹を養うため小説家を目指し「東京朝日新聞の小説記者半井桃水」に師事しますが全く小説は売れず、いつしか恋い慕う桃水とも醜聞問題から絶交、食い詰めて雑貨店を東京入谷竜泉寺町に開くなど、恋に悩み貧困に向き合いながらも24歳の短い生涯をひたむきに懸命に生きた近代女性の魁でもあります。

 東京台東区竜泉寺にある「一葉記念館」に建っている、戦後再建された「樋口一葉記念碑」から、明治の文豪「菊池寛」の撰文《ここは明治の文壇の天才樋口一葉旧居のあとなり。一葉この地に住みて「たけくらべ」を書く。明治時代の竜泉寺町の面影永く偲ぶべし。今一葉を慕いて碑を建つ。一葉の霊欣びて必ずや来たり留まらん。》を読み取ることができます。

 20年前の1984年を見るに、この年グリコ・森永事件が発生、1月には日経ダウ平均が始めて1万円台をつけ、日本人の平均寿命が世界一になり、コアラが初来日、日本初エイズ患者発表などのニュースが記憶に残るところです。

 唐突な新紙幣発行の発表です。その第一の狙いは偽造犯罪防止といいますが、心理面からもデフレ化の沈滞化した経済を払拭したい、またATMや自動販売機、両替機等の更新により国内景気の刺激につなげたいなどの狙いがあるようです。しかし竹中経済財政相は 「新紙幣発行の経済効果は大きく期待してはいけない、かかるコストを考えると経済全体への影響は限定的」とも語っています。真の狙いはどこにあるのでしょうか。

 新紙幣の発行は塩川財務相の発案で昨年後半から準備が始まり、そして数十人の候補者のなかから誰を肖像画として採用するか、発表のタイミングを計っていたと言われます。結果として初めて女性が採用され、「樋口一葉」の登場です。
 「田中真紀子さんに代わって樋口一葉」。結局は女性の支持を期待する人気取りと考えると何となく落ち着く話ではないでしょうか。


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