NO。352 「ヘリコプターマネーの乱舞」 21.1.1
  
「ヘリコプター・マネー」を知っていますか。文字通りヘリコプターの上からお金をばらまく政策であり、実需喚起による消費増加を狙ったものです。
今回の追加経済対策にある2兆円の生活支援定額給付金も、概ねこの方法論に則ったものです。

ノーベル経済学受賞者ポール・サミュエルソンは、「今回の世界的な経済恐慌を招いた理由のひとつは住宅バブルの崩壊であり、今回はバブルの坂を上がって行く時にモンスター的金融工学がさらに危機を深刻化させた。この危機を終わらせるためには何が有効なのか。それは、19291024日の暗黒の木曜日に幕が開かれた米国の未曾有の大恐慌を克服した“ヘリコプター・マネー”と呼ばれる政策だ。紙幣増刷をしてばらまくような大胆さで赤字をいとわない財政支出をすることだ。」とコメントしています。

 昨年末29日、国際通貨基金(IMF)は世界的な経済危機を克服するため、各国政府に早急かつ大規模な財政出動を促す報告書を発表しました。「信用収縮や金融資産などの目減りで、個人消費や設備投資が低迷しており、世界の総需要は大恐慌以来、最大の落ち込みとなる恐れがある」「これ以上需要が減少すれば、デフレによる債務膨張で金融危機がさらに深刻化する悪循環のリスクが高まる」として、大胆な財政政策による内需主導型の回復が必要と提言し、まもなく米国大統領に就任するオバマ氏の大規模な景気刺激策にエールを送りました。
 わが国でも昨年末に、米連邦準備理事会(FRB)が事実上のゼロ金利に踏み込んだことを受けて、日銀は政策金利を0.1%に引き下げ、同時に急速な景気悪化と円高進行に危機感を強め、景気の下支えに向けて金融政策面の対応をさらに強化する必要があると判断しコマーシャルペーパー(CP)の買い取りや長期国債の買い入れ増額など、資金供給の拡充策も決めました。
 まさに「ヘリコプターマネーの乱舞」です。

   今回の追加経済対策にある2兆円の生活支援定額給付金も、概ねこの方法論に則ったものです。これが他人の金だったらうれしいでしょうが、その財源はあなたの税金なのです。つまり4万円の税金で4万円のクーポンを買うだけなので、あなたが合理的ならバラマキ財政政策に効果はないというのがよく知られている理論なのです。しかし実証的には人々が近視眼的で、将来の課税より現在の現金の価値を高く評価します。つまりバラマキ政策は、国民がバカであればあるほど効果の大きい政策といえます。
 
ヘリコプター・マネー政策は何をもたらすのでしょうか。それは歴史が証明することとなるでしょう。