NO。317 混合診療の行方 19.12.3
 2007年に全面解禁が予定されていた「混合診療」をめぐり、全面解禁を求める政府の規制改革会議と、反対する厚生労働省ががっり四つの大相撲です。「混合診療」とは、患者が払う医療費が、公的健康保険を使い一部負担で済む“保険診療”と、全額個人負担の“保険外診療”の併用、すなわち“保険診療”と“保険外診療”の混合を認めるものです。
 
わが国の医療制度の基本は「保険診療」であり、原則としてその対象となるのは中医協(中央社会保険医療機関)が診療報酬点数表に定める治療であり、それ以外は保険外診療として扱われ、双方の「混合診療」は認められていません。厚生労働省は2006年、例外的に一部の先進医療や差額ベット代について混合診療を認めました。
 現在、保険診療の場合は3割が自己負担です。
 混合医療の場合には保険診療部分までも全額患者の自己負担になります。
       保険診療   保険外診療
保険診療のみ    保険適用      3割負担              
保険診療+保険外診療          全額、患者の自己負担
 例えば、未承認で保険が適用されない抗ガン剤36万円を使用した場合・・・
 
未承認の抗がん剤36万円を含む1ヶ月の医療費が約100万円の場合、混合医療が認められていない現在では、患者は100万円全額を自己負担せねばなりません。
 
混合医療が解禁されると、未承認の抗ガン剤36万円以外は保険適用になり、患者の負担は実質ほぼ半額の53万円で済みます。
 
 
解禁の是非をめぐり賛否両論があります
 
患者の立場に立てば「欧米で普及していて日本では認められていない新しい薬や治療を使え、患者の選択肢が広がる」「高度の治療や新しく開発された医薬品を使用できる」メリットがあります。大手病院関係者の立場では、「医療の創意工夫が生れ、医療技術の発展につながる」と賛成の姿勢です。
 反対の立場は、厚生労働省や日本医師会です。
 「怪しげな民間療法が、自由診療で横行するのではないか」
 「有効性、安全性の確認されていない新薬や、ニセ薬が横行するのではないか」
 「国民の平等な医療を受けられる権利が奪われる」
 「患者の経済力によって受けられる医療に差が生じる」
 「病院が保険外診療を奨めやすくなり、患者の負担が増える」
 「経済力のある方は、費用に備えるため民間の医療保険などへの加入が加速され、現行の医療保険制度の崩壊につながる」等々です。
 
でも、反対には必ず隠された本音があるものです。
 
混合診療が認められると、医療技術の面でますます大手病院との格差がつき、経営が圧迫されるとする医師会側の考え方が根底にあるようです。
 穿った見方でしょう。