NO。312 消費者物価指数下落の謎 19.10.29
去る25日、サッポロビールはビール類の価格について、「コスト削減に努めないといけないが、値上げの検討を始めた」と述べ、アサヒビールも同日、「原材料の値上げ圧力が来年もこのままなら、値上げを考えざるを得ない」と述べ、キリンビールも、「値上げをすべきか、するべきでないか、しっかり検討する」と、大手3社が値上げ検討で足並みをそろえました。
 ビールメーカ3社は、高騰している原材料価格の先行きについては、「来年、再来年も厳しい状況になる」との見通しを示し、価格引き上げを視野に準備に入ったことを明らかにし、年明け以降に価格を引き上げる可能性を示唆しました。
 
また、26日に大王製紙は、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの家庭紙を11月から10〜15%値上げすることを明らかにました。王子製紙も、日本製紙グループ本社も10%程度、家庭紙を今秋から値上げする方針を打ち出しています。
 製紙各社は、重油など原燃料価格の上昇に対応するためだと説明していますが、今年夏にも10〜15%程度の値上げを表明したばかりの再値上げです。
 
 
ところが「値上げの秋でも物価はマイナス、消費者物価の下落が続いている」。総務省が26日発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比0.1%の下落で、8カ月連続で水面下に沈んだままとなりました。
 食品や生活用品など身近な商品の値上げが相次いでいるのに同指数の下落が続いているのは、指数に占める値上がり品目のウエートが小さいうえデジタル家電の大幅な値下がりなどが影響しているためで、生活実感と政府の経済指標の間にズレが生じているのです。

 消費者物価指数は身近な商品の値上がりも反映しており、例えば食品の場合、9月の値上がり率は前年同月比でマヨネーズが11.7%、ポテトチップス6.3%、スイートコーン缶詰4.6%、輸入チーズ3.6%などと値上がりが目立ちました。ただ同指数全体に占めるウエートは夫々低く、消費者にとって物価上昇は実感しても、指数全体への影響はごく小さいことになります。
 高水準で推移しているガソリン価格は昨年の夏場も高かったため、前年同月と比べると8月の上昇率はわずか0.9%。9月は逆に0.2%の下落となり、指数の上では下落に寄与したことになります。
 サブプライムローンの影響でアメリカ個人消費の低迷や、販売競争を背景にしたデジタル家電の値下がりが指数に大きく影響しています。9月は前年同月比で薄型テレビが18.9%、ノートパソコンが27.8%値下がりしましたた。
 
 
原材料費の高騰を受け、私たちの身の回りで値上げが相次いでいるのに統計には表れていないのは、指数への影響度が大きい薄型テレビやパソコンなどが大きく値下がりし、打ち消されてしまったためで、私たちの感覚とはかけ離れた「消費者物価指数」のマイナスが続いているのですね。