NO。301 年金保険料流用禁止法案って 19.8.13

 参院選で自民党が惨敗、与野党が逆転して初の臨時国会は10日に会期を終え閉幕、民主党が参院に提出した年金給付以外へのムダ遣いの再発防止を目的とした「年金保険料流用禁止法案」は委員会に付託されないまま廃案となりました。

 厚生労働省の資料によると、1945〜2005年度に国民が支払った年金保険料のうち,この間の厚生年金保険料収入291兆円の1.6%に相当する約6兆4000億円が年金給付以外に使われたとのことです。また、06、07年の2年間で社会保険庁の予算では事務費や年金相談費などが約4千億円が見込まれており、これも加えると下記の表のごとく6兆8千億円の巨額となります。
 
≪年金保険料のうち年金給付以外への流用額≫

年金福祉事業団関連 グリーンピア建設・運営費    3000億円
被保険者住宅融資 1兆5000億円
事務費交付金    5000億円
社会保険庁関連 年金福祉施設整備費 1兆4000億円
同上 委託事業    2000億円
年金相談、システム経費など 1兆7000億円
同上 年金事務費    7000億円
6兆4000億円

  約1兆4000億円の保険料を投じて建設された厚生年金会館や保養所、カルチャーセンターなど412件の年金福祉施設は、民間施設との競争に負け、国民からその存在意義を厳しく問われ廃止・売却が決まりました。既に、4分の1の102物件が売却されましたが、その総額は約400億円、あと3年余(売却期限)ですべてを売却できたとしても1兆円以上が回収できない見通しとのことです。
 例えば、前の森総理の地元石川県小松市で約54億円を投じた健康福祉センター「サンピア小松」は今年1月の入札で、民間企業に8億円余で落札されました。また、約14億円を投じた大分県の健康保養センター「くにさき望海苑」は3月、別の企業が1億6100万円で落札しました。

 これとは別に、総額約3000億円をかけて建設された、ホテルに遊園地などを併設したより大型の保養施設「グリーンピア」は、全13施設が05年12月までに売却されました。グリーンピアの場合、実態は“たたき売り”で、地方自治体などへの売却価格は約50億円に過ぎない結果となりました。
 こうしたグリーンピアのうち7ヶ所は厚生労働大臣を経験した議員の地元に建設されていたそうです。

 こうした流用の根拠は、これまでの年金関連法にある「必要な施設をすることができる」という一文でした。なんと、奇妙な日本語でしょうか。
 今回の年金騒動で、政府は「年金相談、年金教育・広報、情報提供などの事業を行うことができる」との条項に改めました。
しかし、またそうした名目で保険料の流用が続くのではと、民主党の「年金保険料流用禁止法案」が提出されたのです。