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NO。30 公的年金空洞化  (2002.5.27)
 
 厚生労働省は
2004年度に迫る年金制度改正に向け、「厚生年金の保険料を2025年度には現状の約2倍、年収の約25%」と発表しました。国立社会保障・人口問題研究所が本年1月に発表した「将来人口推計」に基づく試算であります。止まらぬ少子化・加速する高齢化は年金受給の高齢者層の増加と保険料負担の現役世代の減少をもたらし、結果現役世代1人あたりの負担が増えるという図式でもあります。

 1997年に旧厚生省は
年金改革の5つの選択肢を提案しました。

@ 現行制度の給付水準を維持する場合、2025年時点の保険料率は月収ベースで34.3%に。
A 2025年時点の保険料率を月収ベースで30%以内にとどめるなら、2025年度での給付は1割程度抑制。
B 2025年時点の保険料率を月収ベースで20%以内にとどめるなら、2025年度での給付は2割程度抑制。
C 保険料率を現状の月収ベースで20%程度にとどめるなら、2025年度での給付は4割程度抑制。
D 厚生年金を廃止し、民間の企業年金か個人年金に委ねる。

 この試案に基づいて年金制度改正案が作られ、2000年度の受給抑制と保険料負担増の年金制度改正が実施されたのです。年金支給と保険料負担のバランスを考えての改正というけれども、まさに「どうでもしてくれ抜本改革」を先送りしてきた国の無策のツケを国民に押し付けただけであります。

 現在の公的年金は世代間扶養の考え方に基づいて、社会保険方式の仕組みをとっていますが、既に制度疲労を起こしております。全国民共通の基礎(国民)年金の国庫負担を2004年に現状の1/3から1/2へと引き上げるための財源確保をめぐっての議論も未だ結論がつかず、消費税での税方式への転換も視野に入りつつある感じがします。

 一方、
厚生年金を違法に脱退したり加入しない、保険料を滞納する法人や個人事業者が増えており、加入事業所は2000年度末の167万から3年連続で約1万ずつ減少しているといいます。また、国民年金も2000年度の未納率は過去最悪の27%に達し、保険料免除の低所得者を入れると3人に1人が保険料を納めていない状況です。制度の空洞化が制度改革のスピードを追い越す悪循環に入り込んでおり、国民は国を信じず法を無視しての自己防衛に走る末期的現象であるといえます。

 そして2004年度の改革を目前にしての試案発表。公的年金に対しての国民の不安・不信は増すばかりです。いよいよ日本の国民も「UFOの存在を信ずる人のほうが、将来年金を貰えると信ずる人より多い」というアメリカでのジョークが通じるようになるのでしょうか。



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