NO。291 消えた年金の闇A 19.6.4
   消えた年金記録が5000万件もあるとのこと、「国民の2人に1人?」とビックリ仰天です。
 なぜ年金記録は消えてしまったのでしょうか。


 
年金制度において記録管理は極めて重要な課題です。
 わが国の年金制度は1942(昭和17)年、サラリーマンなどを対象に厚生年金保険制度が誕生し、61(昭和36)年に自営業者などを対象に国民年金制度が発足しました。85(昭和60)年の改正では全国民共通の基礎年金が導入されました。
 年金制度の加入者記録は、それぞれの制度発足以来、国民年金や厚生年金、共済組合などの制度ごとに管理されてきたため、97年の基礎年金番号の導入前は裁定の際に各年金の記録を統合するのに非常に時間がかかっていたのが実態です。
 そこで、平成9年に基礎年金番号制度を導入し、年金記録を一元的に管理する仕組みをスタートし、
年金記録を一元管理するため加入者全員に基礎年金番号が割り当てられました。
 
それ以前では、制度が複数に分かれていた上、転職や結婚で姓が変わった時に新しい年金手帳がつくられるなど、加入者は複数の年金番号を持っていました。なかには、1人で10件を超える年金番号を持つケースもありました。また、約5000万件の中には、すでに死亡した人や納付期間が短く受給資格のない人のデータも含まれているようです。ただ、「氏名の読み違い」や手書き台帳からの転記間違いなど、社保庁側の紛失やミスで該当者不明になっているケースも相当あるとみられています。
 消えた記録には20代のデータも約9万件あるとのこと、「年金はお年寄りの話で自分は関係ない」と思わず、転職経験のある若い人も一度確認をしたほうがよさそうです。
 

 
この5000万件のうち、約3000万件は既に年金受給世代になっている方で、残り約2000万件が年金受給年齢に達していない方々の記録だそうです。この約2000万件は、毎年100万人を超える方が順次、年金裁定を行っていますので、その過程で消えた記録はまた蘇るとみられています。
 
問題となるのは、約3000万件に上る既に年金を受けている世代の方々の記録です。

 
政府はこの約3000万件の社保庁に残っている年金記録と、既に年金を受給されている約3000万人の記録を再調査し、氏名や生年月日、住所などのデータを改めて整理した上で、同一人物の可能性のある方に対し、「記録漏れの可能性がある」という趣旨の通知を行い、社会保険事務所などで確認していただくよう作業を進める方針です。
 
保険料を納付したにもかかわらず、社保庁に記録がなく、納付した証明書類がない場合についても、一律に「すべてだめ」ではなく、領収書や銀行の振り込み記録、場合によっては家計簿や日記帳の記録など何らかの証拠によって、保険料の納付の事実が確認されれば、速やかに記録を訂正し、適切に対応することになっています。
 このほか、2008年4月からスタートする「ねんきん定期便」、年金記録の統合やミス発見にも役立つと期待されています。。国民年金と厚生年金のすべての被保険者を対象に、保険料の納付実績や年金額の見込みなど、年金に関する個人情報を提供します。この定期便は、07年3月からは35歳になった人に、07年12月からは45歳になった人に対して、前倒しして加入期間の履歴を通知。07年12月から、55歳以上の人には保険料納付実績や年金額の見込みを先行して知らせすることにしており
 既に年金を受給されている方で、新たな年金記録が確認された場合には年金額が増額されることになりますが、5年より前の期間分は時効となり、これまで支給されないことになっています。
 
時効のために年金の増額が受けられない方を救済するため、「年金時効撤廃法案」の設立が待たれています。
 過去に年金記録漏れなどで、年金額が少ないと判明したものの、「時効」によって補償されなかった年金は約950億円に上るとの試算を明らかにされていますので、「年金時効撤廃特例法案」が成立すれば950億円は全額補償され、その対象者は約25万人で、1人当たり約38万円が補償される計算になります。しかし、今後後、全ての記録調査で、新たな記録漏れが発覚すれば、補償額は大きく膨らむ見通しだ。950億円のうち、約890億円は年金保険料から、残りの約60億円は税金から補償されとのことです。基礎年金(国民年金)部分の約3分の1が税金によって賄われているためだからそうです。
 

 次回も、「消えた年金の闇B」にご期待ください。