NO。289 脱石油?エタノールブーム  19.5.21
  自動車用燃料「バイオエタノール」を知っていますか?
 
サトウキビやトウモロコシなど植物を使って作られるエタノール(エチル・アルコール)は、環境にもやさしい新型燃料、と言われています。
 バイオエタノール先進国といわれる
ブラジルではこのエタノールで走る車(フレックス車と呼ばれるエタノール対応車)が全体の15%の300万台にものぼります。ブラジルはオイルショックを契機に石油に頼らないエネルギー政策を推進し国が全てのガソリンスタンドにバイオエタノール燃料の販売を義務づけています。フレックス車はガソリンでもエタノールでも走れるように作られ、利用者はどちらの燃料で走るか切り替えます。エタノールは料金もガソリンの半分くらいで、"サトウキビ・トウモロコシで走る車"が町を走り回っています。
 
アメリカやヨーロッパでも「バイオエタノール」の需要は高まってきております。
 ブッシュ米大統領が地球環境対策としてエタノール大増産策をかかげたため、アメリカはエタノール・ブームです。結果として、エタノールの原料であるトウモロコシなど穀物の国際相場も高騰、石油価格の高騰で世界中がバイオ燃料ブームに沸き立っており、
まさに現代の”ゴールドラッシュ”の様相です。
 しかしアメリカでは、この結果とうもろこし価格が高騰しています。トウモロコシをどんどんエタノールにしてしまえば食料問題が発生する可能性があります。トウモロコシはそのまま食べるだけの食材ではなく、家畜のえさとして、各種の肉、牛乳、チーズ、ヨーグルト、卵などの元になっています。これが不足すれば、すぐに食料不足につながります。養豚農家などが、豚の飼料であるトウモロコシがエタノールの原料として使われるため価格が高騰、採算が合わなくなってきた悲鳴を上げています。 「養豚業界が行き詰まれば、豚肉の供給が細り、価格も上って消費者に跳ね返るだろう」と懸念されています。
 そして、アメリカは食糧の大輸出国です。これが日本を含めて世界に影響すると懸念されています。

 エタノール・ブームの歌い文句は、
「自動車の燃料をいつまでも石油に頼っていれば、資源を食い潰し続けます。しかし、トウモロコシや砂糖キビなら、毎年栽培でき、トウモロコシや砂糖キビの葉は大気中の二酸化炭素を吸収してくれます。だからエタノール燃料は環境に優しい燃料」、なのです。


 
過日、日経新聞は、アースポリシー研究所長、レスター.ブラウン氏の警告をまとめた“米、エタノールブームに警鐘”という記事を掲載しました。
 同氏によると、すべての穀物をエタノールに変えても、アメリカのガソリンの16%としかまかなえないとの事です。“燃料のわずかな補完をするために、世界の貧しい人々を危機に陥れるという非難をしています。
 また、トウモロコシの価格が高騰すれば、トウモロコシの作付けが増え、その影響は直接的には、他の作物の生産を削るという影響になり世界の食糧供給に影響します。では休耕田を再使用したり、新しい畑をつくれば良いという事になりますが、同氏は、その場合今度は水不足が問題であると指摘しています。トウモロコシ1トン作るのに静1000トンを使用するというのです。そして、地球温暖化の影響で、世界各地で水不足がすでに深刻化しつつあります。アメリカでも、南部の大平原の地下水位の低下が目立つそうです。中国の北半分は文字通り干上がろうとしているし、各地の大河の水位も落ちてきています。昨年はオーストラリアで干ばつがおき穀物価格があがりましたね。
 
これから地球の人口は今の60億から90億に向かおうとしています。その為には食糧と水の確保が課題なのに、食糧を燃料にしてしまい、ただでさえ不足する水を食糧増産のために使うというのは、どう見てもおかしいと主張しています。

 このような世界的エネルギー革命の中、出遅れた日本でも、2010年度までに"バイオエタノールを混合したガソリン"を普及させていく動きが出始めています。アサヒビールが沖縄で、「サトウキビから砂とエタノールを同時に産み出す」という画期的なバイオエタノール作りも始めています。