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NO。144 株券が無効になる (2004.8.2)
 「タンス株券は大切にお預かりします!」
 「タンス株券をお持ちの方はお急ぎください!」
 「タンス株券はお早めに特定口座にお預け下さい!」

 「株券が無効になります、お手元の株券の特定口座への組み入れは本年末まで!」
 こんな言葉が証券会社の店頭に踊ります。
 タンス株券は家庭や銀行の貸し金庫などに眠ったままになっている株券を指し、約30兆円あると推計されます。親から相続したが株式投資に関心はない、従業員持株会で購入を続け退職時に現物株で保有、などによる株券が多いようです。
 
 本年6月9日、「社債・株式等の振替に関する法律」が公布され、上場会社は5年以内に、「株券不発行(株券ペーパレス化)」に一斉に移行することになり、これまでの株券は一切価値を失います。
 新制度下では、これまでのような印刷された株券はなくなり、株主としての権利は「新しい証券保管振替制度」の下で電子的に管理されます。投資家は、株券の紛失、名義書換の忘れなどの危険性がなくなり、証券会社は株券の保管や運搬のコスト削減、企業は株券再発行や増資、合併による株券の印刷などのコスト削減のメリットが生まれます。また、これまで、株式取引の決済は売買の日から3営業日かかりましたが、株券廃止により注文から決済までの処理がスムーズになり、翌日決済への環境が整います。 欧米の株式市場は既に株券の廃止や決済の短縮化に向かってしのぎを削っています。わが国も、使い勝手がよく信頼性の高い株式市場を目指し、海外の投資家をより呼び込んで市場の活性化を図る狙いがあります。
 また、タンス株券の眠りを覚まさせ、売却でもしてもらえれば証券会社も潤うし、売却代金を消費に回してもらえれば経済活性化にもつながる、そんな狙いもあるようです。

 それでは、個人投資家はどう対処すればいいのでしょうか?
 既に証券会社に口座を開設し、「証券保管振替機構」に株券を預けていれば投資家は何のご心配はありません。でも、お手元にタンス株券をお持ちの投資家は、今後も継続して保有する積りであれば、早めに証券会社を通じて「証券保管振替機構」に株券を預ければ安心です。また、新証券税制改正で設けられた特定口座制度は個人投資家にとっては確定申告が簡単にできたり申告不要が選択できる便利さが受けています。タンス株券についても本年末までは組み入れできますので、この機会に特定口座の検討もされては如何でしょうか。
 
 一斉移行時までに何の手続きもとらずに、タンス株券のまま保有していた場合は注意が必要です。一斉移行後、手元に保有しているタンス株券は無効扱いになります。しかし、その株券の権利は企業が株主名簿に基づき、それぞれの株主のために「特別に開設する特定口座」で管理します。注意が必要なのは、株券の名義書換が済んでいるかどうかで変わります。名義書き換えが済んでいれば、当然株主権はありますが、スムーズに売却出来ない等の不都合が生じます。名義書換が済んでいない場合は、当然株主権は確保されません、場合によっては権利を完全に喪失する可能性も生じます。
 
 5年先に株券が無効になる可能性も生じる「株券不発行制度」と、本年末の「タンス株券の特定口座への組み入れ期限」を上手にリンクして、早めに対応しましょう、できれば特定口座を開設しましょうと、顧客の囲い込みを急ぐ逞しい証券会社の営業戦略が見え隠れします。